本書は、著者の長年にわたるコンクリート技術の集大成として、コンクリートの耐久性の確保を中心に、良いコンクリート造りについて述べたものである。
第1章では「コンクリートに今何が起こっているのか」として、コンクリートの製造から施工に至るまでの、材料としてのコンクリートの扱いによる影響について、損傷を写真で示し、コンクリートの製造上及び施工上に起因する理由について解説。第2章では、コンクリートの劣化・損傷を防ぐのに、コンクリート構造物の材料としてのフレッシュコンクリートを如何に造るべきか、基本的な課題について述べた。特に骨材の性状がコンクリートのワーカビリティーに大きな影響を与えることについて詳述するとともに、ワーカビリティーに関してはスランプの数値のみに頼るのでなく、スランプした形状からの状態の観察での判定の仕方について具体的に提言している。
第3章では、「単位水量の管理」について述べた。フレッシュコンクリートの品質の原点は、単位水量が少なく、ワーカビリティーが良くかつ施工において分離しないことの3点が挙げられる。それを左右する最大の要因は骨材にある。しかし、コンクリートの製造設備が近代化しても、骨材の品質のコントロールは生コン工場ではほとんど行えない状況にあり、技術的には最も遅れた部分である。本書ではその点を指摘するとともに改善策を示した。第4章ではアルカリシリカ反応の抑制対策の有効性を高める提言がなされ、第5章ではコンクリートの乾燥収縮に関する多くのデータで、収縮率の低減に向けた有用な情報を提供している。
著者:吉兼 亨
体裁:A5判 175ページ
定価:2,750円(税込)
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<主な内容>
第1章 コンクリートに今何が起こっているのか
第2章 良いコンクリートを造るには
第3章 単位水量の管理
第4章 アルカリシリカ反応の抑制
第5章 乾燥収縮率の低減に向けて
第6章 良いコンクリートとは〜あとがきにかえて〜