最適細骨材率とは何か?なぜ配合で水セメント比が重視されるのか?
本書は、コンクリートの配合に関する過去から現在までの研究成果や知見をまとめ、実務において曖昧にされがちな問題について考察するとともに、配合設計の要点を論理的に解説する。併せて、品質管理を行ううえで必要な統計学の方法論についても説明を加えた。
コンクリートの配合における「なぜ、そうなるのか」「どうしたらいいのか」という疑問に答え、経験や結果が重視されがちなコンクリート技術の本質を論理的に理解することを助ける一冊。
推薦の言葉
十河茂幸氏(広島工業大学 教授)
コンクリートの配合設計は、構造物に要求される性能を付与する第一歩の技術的行為であり、現代では大変重要な技術のひとつであることは間違いありません。配合設計を誤ると、施工時に不具合が生じる確率が高くなり、地震時の安全性に不安を抱えることになり、本来は長期間の供用を期待できる構造物に対する維持管理費用が当初の想定を超えることになります。配合設計は計量や練混ぜなどの製造技術とともに、進化させるべき分野です。
本書は、コンクリート技術を近代化する過程で必要とされた配合設計の考え方を整理し、配合設計のあるべき姿を示し、現在のコンクリート工事で行われている仕事に一石を投じる内容となっています。現在の建設工事で行われている合理的な手法は、理論を簡便化し、設計値に対して余裕をみれば安全であるとの考えが垣間見られますが、そのことに警告を鳴らすものとなっています。コンクリート強度に安全を持たせ過ぎると、ひび割れが生じて耐久性を損ねることになりかねない点など、いま一度原点に返ってコンクリート技術を見直すことが必要です。
著:三宅淳一
監修:松下博通
推薦の言葉:十河茂幸
体裁:A5判 255ページ 上製本 一色刷
定価:4,180円(税込)
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<主な内容>
第1章 コンクリートの基本的性質と配合
第2章 コンクリートの配合に関するこれまでの研究と課題
第3章 コンクリートを構成する材料
第4章 コンクリート中の各材料の配合量に関する要件
第5章 コンクリートの配合設計の手順
第6章 余剰ペースト理論に基づく配合設計法の展開
第7章 振動締固めに適した細骨材率
第8章 粉体混和材によるフレッシュ性状の改善
第9章 コンクリート試験の手順
第10章 コンクリート強度の管理手法
第11章 フレッシュコンクリートの性状に影響を与える各種の要因
付録1 コンクリートに関するQ&A
付録2 正規分布の確率密度関数の誘導
語句索引